縞枯山
あー!!!
ついに目標を達成!!
縞枯山の山頂に、私がいる。私のこの二本の足で立っている。感動で体は震え、胸の鼓動は私が生きて、此処に居ることを証明してくれている!!
自分の軟弱な心と体に、私は勝利したんだ!

 あー生きていて良かった。頑張ってきて良かった。・・・汗が、髪から伝わって”ぽとぽと”と落ちる。私の汗だ。涼しく感じた風が急に冷風に変わり、興奮してさめやらぬ心と体を落ち着かせてくれる。遠くに目を向けると、はるか遠くに雪をかぶった山々がうっすら見える。白い雲と雪をかぶった山々は、目をよくこらして見ないと、空と山の境目を見失いそうである。

 東久留米の山岳連盟の方々に、沢山の暖かいアドバイスと励ましに心より感謝致します。白駒池から茶臼山まで急な石ころ道を、休みなくひたすら一歩ずつ一歩ずつ、階段をクロスして登るような感じだ。”ひーひー”息をはきながら、休憩してくれないのかしらとばかり思っている自分。まだかまだかと待ち切れず、班長に雑談を話かける。班長は、振り向いて、ただ一言「呼吸を整えて!」。息苦しくて、胸が痛い。

 どのくらい時間が過ぎたであろうか。誰かが、「空が見えたぞー。もうすぐだー。がんばれー!」と後に続いている私達にエールを送ってくれた。やっとの思いで登ったところが、白いペンキの棒一本。その棒に茶臼山、2383Mと黒い字で書かれている。ここが山岳の本に載っていた茶臼山。こんなにしんどい思いして登ってきたのにと、ちょっぴり落胆した。「しんどい、疲れたー」としゃがみこんだ数分後、いきなり号令が飛んだ。「出発しまーす!」「えー!もう!?」皆、さっとリュック背負って立ち上がる。

 皆、とても機敏である。皆に出遅れまいと懸命なのだけど、1テンポも2テンポも遅れてしまう。リュックを背負いながら、スティックを持って歩きながら手袋をする。

 ふと、薬を飲む時間がきていることを、気になりはじめた。心の中で祈った。(どうか、目的地まで待って! 諸天善神よ、私を守りたまえ!守りたまえ!)遅れることもなく私は、標高2402Mの縞枯山の山頂に登頂したのです。