第17話「ファイナルアンサー」
ウェブ物語(第17話)2001/7/17

司会者「ファイナルアンサー?」
 と司会者の黒い顔が私に問いかけた。
「………」

 緊張感が私をこの会場から追い出そうとしている。手がコップをさがす。(・・あった)私は水を少し飲んだ。でも、この逃げだしたくなる緊張感は変わらない。

司会者「さぁ、○○さん、この問題に正解されますと1,000万円が貴方のものになります」

 司会者は1,000万円の数字が入った小切手を私に見せた。当然、TVカメラと観客にも、それを見せた。

『あっ、1,000万だ』
 (う〜ん、…)右手が勝手に、その小切手をわしずかみにしそうだ。
司会者「時間はたっぷりあります。よく考えてお答えください。問題はパーキンソン病という神経難病があります。この病名は発見者の名前がついているのですが、その発見者はどこの国の人でしょう? A.イギリス B.アメリカ C.オーストラリア D.カナダ」

 もう、ライフラインは残っていない。頼りになるのは自分だけだ。

「う〜〜ん」(どれかなぁ…)

 パーキンソンって、どこの国の人だったっけ?
 △△教授の医療講演をしっかり聞いときゃ良かった。『どれにしようかな神様の言う通り』で、指が止まったのはBのアメリカだった。私の人生って、こんな感じかな?

「はい、決めました。Bのアメリカでお願いします。」
司会者「どうしてBのアメリカなんですか?」
「は・・はい、神様にお聞きしたら、Bのアメリカだって言うもんで…」
司会者「…もう一度お聞きします。ファイナルアンサーですか?」
「はい! ファイナルアンサーです!」

 重苦しいBGMが聞えてきた。司会者は妙な表情で、"タメ"を作ってる。

司会者「………」
「……(^^;)」
司会者「………」
(…この"タメ"、何とかしてくれぇ〜!!)と心の中で叫ぶ。
司会者「残念!」
「えっ!」(;;)
司会者「おしかったですねぇ。もうちょっとで1,000万円だったのに」
「…」

 こんな時、海に沈む夕日に向って「ばかやろ〜〜!!」って言いたい気分だ。

司会者「イギリスだったんですよ。でも、100万円は貴方のものです」
「…」

 観客の拍手と共に、私は会場を後にする。『やっぱり、私の人生ってこんなもんかぁ?』