第34話「謹んで言上つかまつる」
ウェブ物語(第34話)2002/4/20

 拙者、木村権左ェ門と申す者にて候。この度、お上に謹んで言上いたしたき儀これあり。よってここに謹んで言上つかまつる。

 さて、2002年3月15日に、第5回難病対策委員会なる会議が開かれたと聞き及びまして候。この際、5万人を超える難病は、特定疾患より外されるとの事、この儀、誠にてござろうか。さにあらば、よくよくお考え直し頂きたく候。

 そもそも、難病なるものは完治する治療方法も無いものにて候。しかるに希少性という言葉を用い、5万人を超える患者がいる病気は治療方法が確立せずとも『難病』ではないとおしゃられるとは、はなはだ奇怪にて候。

 お上においては、財政難のご様子、予算を切り詰めたいと思う心情お察しいたすが、もっと他のところにて切り詰めていただきたく候。誰も好き好んで、このような病気になりたい者などござろうか?

 お役人方も『人』なれば、『難病』になりうる可能性もござるのである。ゆめゆめ、他人事と思わぬ方がよろしいのではござりませぬか?

 この権左ェ門、貧乏武士ではござるが、この一件は承服いたしかね申す。