■全地連主催による「技術フォーラム 2001」
             新潟大会に技術発表


・-9月13日-ホテル新潟で開催による技術フォーラムに
 当社の山口紀夫が発表
・(株)興和様のバックアップのおかげで大成功でした
水圧式サンプラーによる砂試料採取時の反力機構
有限会社 中沢ボーリング  山口 紀夫 , 中沢 冨男
株式会社 興   和        中野 義仁 , 柴田 東 
1.はじめに
 水圧式などのチュウブサンプラーで砂試料を採取する場合、チューブ貫入時の反力不足が採取率の低下や試料の乱れに影響するため、十分な重さと剛性のある反力機構が必要となるが、チューブ貫入力は地盤の硬さによって変化するため、予めどの程度の反力が必要となるか判断は難しい。しかし、事前にN値などから必要な反力が推定できれば確実なサンプリングが可能となる。
 著者らは、(社)地盤工学会サンプリング研究委員会が1989年に行った砂試料の一斉サンプリングと同じ新潟市女池小学校において、チューブ内径48,50mmの小径倍圧型ピストンサンプラー(倍圧45,50)とチューブ内径70mmの従来の水圧サンプラー(単圧70)を用いて不攪乱砂の採取を実施した。反力補強と試料引揚げ時の泥水管理を慎重に行なったところ、N値3〜54に関係なくチューブ押込み長さに対する試料採取長の比で定義する試料採取率Rrが倍圧45,50に対してRr≧85%で砂試料を採取することができた。また、別の場所(新潟市中権寺)において、加重剤を添加し、より高密度の泥水を使用して砂試料を採取したところ、倍圧、単圧共にN値30〜50に関係なくR≒99%で採取することができた。これらのサンプリング結果より、N値とチューブ押込み力やポンプ圧の関係、反力の剛性など、今後水圧式などのチューブサンプラーによる砂試料の採取で、反力機構を検討する際に参考となる結果が得られた。
2.地盤と反力機構の概要
 サンプリングを行った2箇所の地盤状況を図−1に示す。サンプリング区間は両地共に中砂(平均粒径約0,25〜0,26mm)であり、細粒分含有率が0,6〜6,8%、均等係数が1,0〜2,2と粒径が均一な状態である。
 図−2は試料採取で用いた反力機構である。N値の高い砂の採取も計画していたことから、作業の安全も考慮して1個当たり高さ1m×幅1m×奥行0,5mのコンクリートブロックを8個(総重量約98kN)用意し、H型鋼(150mm×150mm×2本)、ワイヤー、チェーンを用いてボーリング機械と一体化した。また、中権寺調査では反力機構の剛性を調べる目的で、175×175mmのH型鋼も用いて試料採取を行った。
3.乱さない試料採取
 2箇所で実施した標準貫入試験や総ての試料採取は、同じボーリング機械、送水ポンプ、サンプラーを用いて度尾イツの技術者が行った。したがって、これらに及ぼす個人誤差の影響は無いと考えている。
 また、チューブ貫入後に泥水面からチューブを引揚げる際に、試料が脱落することが危惧された。これに対処するため、図−3に示すように地上のケーシング頭部を囲むように泥水溜を設置し、その中でチューブ千単位ポーラスストーンを装着して試料の脱落を防止した。
 尚、試料採取した総ての場合に対して、チューブの刃先は何の損傷も受けていなかった。

図−1 サンプリング地の地盤状況

図−2 反力機構の概略図
4.地盤強度とポンプ圧
       チューブ押込み力の関係と反力の剛性
 (1)最大ポンプ圧PmaxとN値の関係
 図−2で示す圧力計で測定したチューブ貫入時の最大ポンプ圧PmaxとN値の関係を図−4に示す。PmaxはN値の増加とともに直線的に大きくなり、この傾向にサンプラーの種類は影響していない。図中の直線は全データの回帰直線であり、
   Pmax=2,28+0,10N(Mpa)(相関関数r=0,896)
で表される。図−4の結果は、水圧式サンプラーで砂試料を採取する場合に必要となるポンプ圧力の見積りに参考となる。
 (2)チューブ押込み力FとN値の関係
 チューブ貫入時の最大ポンプ圧Pmaxに水圧ピストンの総受圧面積を乗じて求めたチューブ押込み力FとN値の関係を図−5に示す。倍圧45,50及び単圧70共にFはN値の増加とともに直線的に大きくなる。図中の直線は倍圧45,50、単圧70のそれぞれについての回帰直線であり、
 倍圧45,50:F= 7,71+0,36N(kN)(相関関数r=0,886)
 単圧70  :F=11,81+0,44N(kN)(相関関数r=0,895)
で表され、同じ地盤強度の砂を採取する場合では、倍圧45,50は小径のため単圧70よりもFが約2〜3割小さくて良い結果を示す。また、F=反力荷重となることから、図−5の結果はチューブサンプラーで砂試料を採取する場合に必要となる反力荷重の見積りに参考となる。
 (3)反力機構の剛性
 中権寺調査では、2種類のH型鋼(150×150mm:タイプT,175×175mm:タイプU)を用いて、試料採取時のH型鋼中央(サンプリング位置)の最大たわみ量yを測定した。このyとチューブ貫入時にH型鋼1本当たりに作用する反力T(=F/2−機材重量)の関係を図−6に示す。両H型鋼タイプ共にyはTの増加とともに直線的に大きくなり、この傾向にサンプラーの種類は影響していない。図中の直線は、梁中央に集中荷重Tが作用するスパン長5mの単純梁とした場合の計算値であり、実測値と計算値がほぼ対応する結果が得られた。
 今回使用したような反力機構であれば剛性が高く、N値50程度の砂の採取まで十分に対応でき、集中荷重Tが作用する単純梁とした簡易な計算で剛性を検討することも可能である。

図−6 yとTの関係
5.その他サンプリング時に観察された事項
 その他に観察された事項として、N値≧40の砂のサンプリングではボーリングロッドのたわみが観察された。深度が深い場合、ロッドの延長も長くなるため、たわみ量はかなりのものになることが予想され、何らかの防止策が必要と考えられる。我々は現在”ロッドの剛性を高くする”、”ロッドにセントラルライザーを取付ける”などの工夫を考えている。また、今回はボーリング機械のロッドチャックだけでロッドを固定したわけであるが、N値が高いとかなりの反力となるため、ロッドチャックに加えてロッドホルダーを工夫して固定するなど、より安全なサンプリングとするためには、まだ検討しなければならない点は多いと考えている。
6.おわりに
 今後、採取試料を用いて室内試験を行い、動的強度特性ととも絡めてサンプラーの種類、Pmax、Fなどが品質に及ぼす影響について検討すると共に、より安全で確実な砂試料のサンプリング方法について検討して行きたいと考えている。
参考文献:1)土質工学会サンプリング研究委員会:砂質土試料の採取法および品質評価法に関する研究、1989年3月.
2)中野・柴田・正垣・矢野:小径倍圧型水圧ピストンサンプラーによる乱さない新潟砂の採取、第36回地盤工学研究発表会講演集,pp.85〜86,2001年6月
3)中野・柴田・正垣・矢野:チューブサンプラーによる不攪乱砂採取のための反力機構と貫入圧、第36回地盤工学研究発表会講演集,pp.87〜88,2001年6月
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