現代の灯台守…

   
おいら岬の トウダイモリは 妻と二人で 沖行く船の 無事を祈って 
    灯(ひ)をかざす 灯をかざす


 あれは小学校になったばかりの頃だったろうか? ラジオから頻繁に流れるこの歌を聞いて、「トウダイモリって何だろう?」といつも思っていた。
 「トウダイモリ」が「灯台守」で、この歌のタイトルが「喜びも悲しみも幾歳月」だってわかったのは、もう成人してからのように記憶している。
 初めて神田館長さん夫妻とお会いした帰りの車中で、僕は知らず知らずにこの歌を口ずさんでいた。
 灯台守の仕事や生活などは知る由もないが、お話をさせていただいた後、まさしくお二人は「現代の灯台守だ」と勝手に確信したのである。
 殺伐とした現代、この資料館を訪れると、心の中がホンワリとしてくる。
 もちろん、ビートルズ世代の僕には見たことのない展示品も数多いが、それでも懐かしさでいっぱいになる。
 「触れることは確かめることである」という館長さんのモットーを実践し、手にとって、思わず涙があふれそうになることさえある。
 これは、いったいどうしてなのだろう。
 この疑問を、あえて僕は深く掘り下げないでおこうと思う。
 単純に、歳を重ね、純粋さと引き換えに打算と狡猾さを手にした自分にも、まだそんな心が残っていると信じたいのだ。
 あれだけの膨大なコレクションをされた神田館長さんには、われわれ凡人の想像を絶する「月日」と「費用」と「情熱」が必要だったのであろう。
 そして、これを支え続けた奥様の苦労も、並大抵でなかったことは想像に難くない。
 さらに、これを維持していくことにも、それを超える辛苦があろうことは言うまでもない。
 そんなお二人に甘えてばかりで申し訳ないが、これからも、まさしく「現代の灯台守」の如く、沖行く船(現代人)に灯をかざし続けて行って欲しいと願って止まない今日この頃である。

                  2001.4.14    Y.H(48歳)