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「愛と勇気」

2014.2.19 切替時間帯に見られる股関節の圧着と解放


【全ての物体は静止し続ける】
地球上での慣性の法則です。

重力が作用しています。
アルペンスキーヤーにも、万遍なく働いてきます。

アルペンスキーヤーでは、股関節まわりの筋肉の使い方により、上半身と下半身がバラバラに動いたり(切替期など)、上半身と下半身が一体となって動いたり(舵取り期など)、使い分けが大切です。

ごく緩い斜面で真横に向いてワイドスタンスで立っています。【写真1】は、ごく緩い斜面で真横に向いてワイドスタンスで立っています。


 

股関節と大腿骨の骨頭を「ユルユル」になるような筋肉の使い方をしながら、上体を傾けたもの【写真2】は、その位置から、股関節と大腿骨の骨頭を「ユルユル」になるような筋肉の使い方をしながら、上体を傾けたものです。

上半身が傾いても、下半身は上半身の動きに追従しません。その場に留まろうとする力が勝ってしまうからです。
山側のスキーの傾きがあまり変化しないことに注目です。


 

山側の足と腰が一体となるような力の使い方をしながら、谷側の足を少したたみ、上体を谷側へスライドした時の様子【写真3】は、山側の股関節、骨盤のソケットの中に、大腿骨の骨頭を押し付けるような力を使い、山側の足と腰が一体となるような力の使い方をしながら、谷側の足を少したたみ、上体を谷側へスライドした時の様子です。

谷側のスキーの傾きと連動して、山側のスキーも傾きます。


 

股関節と大腿骨の骨頭を「ユルユル」になるような筋肉の使い方をしながら、上体を傾けたもの

山側の足と腰が一体となるような力の使い方をしながら、谷側の足を少したたみ、上体を谷側へスライドした時の様子

スキーヤーは、次のターンをコントロールするために、次のターンの外足側のスキーの傾きをどう調整するかが課題です。
本当は傾けたいのに、傾ける対応をしなければ、速度が高いほど、コントロールできないまま、移動距離がかかってしまいます。

ですから、初歩の段階から「上体を傾けて荷重感を増すような動作」を覚えさせても、ターンはなかなか始まりません。
そんなことに時間を使ってはもったいないのです。

ではどうするか?
方法は2つ、
「腰の下に位置している足(ブーツ)を側方に動かす(脚の外転)」、 または、
「膝をターンの内側に運ぶことで脛を傾け、その動きと連動して体幹を内側に移動する(ニーイン)」でしょう。
【参考】 IQサプリ(?) 2006.5.16

前者は、シュテムターンに代表されるようにスキーをズラす動きです。
後者は、「ニーイン」=「膝の内側、側腹靭帯が伸ばされての怪我」をイメージする方が多いことでしょう。

ミクリッツ線「ニーイン」と「股関節」が連動すると、体幹が内側へ移動します「ミクリッツ線」の上に膝が位置されます。

それに対し、股関節がゆるい状態だと、上体はその場に留まり、「ミクリッツ線」から膝が外れて位置しますから、怪我につながります。
「ニーイン」が悪いのではなく、股関節の使い方が悪いのです。


 

また、【写真1】から【写真3】は、昨年まで多くの方が練習していた「原則的な谷回り」の動作と同期します。
昨シーズンまでのSAJ技術員研修会でナショナルデモから解説されるのは、谷側のスキーが水平面からマイナス方向に傾いたら、山側のスキーは連動してプラス側に傾く、というもの。
これがうまく伝わっていなかったか、誤解が生まれたのか、・・・

指導者検定を受検された方では、股関節がゆるいまま、この演技している方を多く見ました。
そして、今シーズン、「内脚主導は悪い」という議論をされているのをネットの掲示板で拝見したりします。
「内脚主導が悪い」のではなく、「股関節の使い方が悪い」、と私は思うのです。

あくまでも、両脚一対運動と体幹主導、身体のねじれと解放、これらをどうコーディネートするかを考えていきましょう。



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