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2015.10.10 「4スタンス理論」から見たアルペンスキー


4スタンス理論 バイブル「4スタンス理論バイブル」
廣戸聡一 著
実業之日本社 刊

身体を使うためには、脳と身体のやりとりがあり、静止していても、動いていても、「安定」、「軸=JIKU」、というのがキーワードになり、目的の運動を行い、パフォーマンスが発揮されます。
生まれてきてからの長い期間、日常生活の中で作り上げてきたバランス感覚や、バランス基準からくる動作の違いは、人によって違うことは明白であります。

【しゃがむ】という動作であっても、股関節から動き始めるか、足首から動き始めるか、と、その人が持っているバランス感覚の違いから、動作の結果は似ていても、途中経過は違ってくるようです。


この本では、大まかに、「Aタイプ」、「Bタイプ」と分類されています。
どちらが有利で、どちらが不利か、というものではなく、
その人にとって、どちらの感覚がやりやすいか、あるいは、どちらの感覚が馴染みやすいか、というものだと思います。
自分の感覚の特徴を認識すること(現状を分析すること)は、とても有効です。
そこから、自分はどう動こうか、というポジティブな考察が生れてきます。

この本は理論ですから、説明されている内容が、すべて平地でのバランスや運動です。
何かの違いを説明するためにも、日常の感覚に照らし合わせてみるためにも、平地であったほうが都合が良いのです。
(スポーツのほとんどは、平地(平場)で行われるんですよね。)
しかし、アルペンスキーの現場は斜面です。
重力の影響を受けながら、今いる位置よりも、低い位置へ、低い位置へ、移動しながら、運動を行うのがアルペンスキーです。

かなり乱暴な言い方になりますが、
アルペンスキー レースは、Aタイプ、
アルペンスキー モーグルは、Bタイプ、
の「バランス感覚が求められる運動特性がある」な、と感じました。

自分が得意・不得意ということでなく、どちらの感覚も必要だな、ということです。
2つの感覚を育まなければならないので、アルペンスキーって難しいのだと思います。

アルペンスキー レースは、規制されたコースを通過しながら、いかに誰よりも早くゴールにたどり着けるか、という種目。
「聖地、小回り・中回り・大回り、スキーの傾き、身体の内傾」の環境で積極的に谷へ落ちていくためには、Aタイプのバランスが有利という単純なものではなく、Bタイプのバランスであっても、動作のタイミングなどで何とでもなるわけです。
ゲート間のターンの切り替えのタイミングで、両手を前に出した方がスキーの滑走性を引き出せるタイプと、両手を身体の横にだらりと下げた位置においていた方がスキーの滑走性を引き出せるタイプの人がいます。
画一的な運動様式を求めてしまったら、本末転倒ということです。
いかにスムースに狙ったラインに滑走させられるか、ということに徹すれば、誰よりも早くゴールにたどり着けるチャンスがあります。

アルペンスキー モーグルは、空中での演技を除き、コブ斜面をいかに安定して早く滑り降りれるか、という種目。
「不整地、小回り、スキーのトップとテールが上下に素早く動く、身体の安定」の環境で、身体の安定を優先して谷へ落ちていくためには、Bタイプのバランスが有利なのは間違いないようです。
前傾を意識しすぎると、コブの衝撃とともに、前転するかもしれませんね・・・(笑)
かといって、身体の落下が遅れてしまうと、仰向けに転倒するかもしれません・・・。

「スキーのトップとテールが上下に素早く動く」操作は、斜面を半円を描きながら移動する時に必要な操作です。重力方向を基準にスキー板の動きを観察すると理解できると思います。
だから、レース志向のスキーヤーも、コブや深雪など身体に負荷がかかるシチュエーションでスムースに落下することを身に着けると、滑走順が遅くて荒れたコースでも、上位に食い込むチャンスが出てきます。

子どもたちにも、両方経験させたいですね。
ゲートトレーニングだけだと「慣れ」は生まれても、総合力が育たないなと。
どんなシチュエーションでも、【やんちゃな元気な滑り】、【楽しくスマイルなスキー】、
出来ないことに遭遇しても、その取り組みを楽しむこと、
そのためにも、Aタイプ、Bタイプの違いがあることを理解し、自分独自の運動方法を模索してほしいと思います。
コーチの方も、【形】にこだわり過ぎずにお願いします。
世界一になるには、誰もしたことがない運動様式にチャレンジすることになるのですから・・・。

 

【Alpine ski 1958 Bad Gastein】
2:24 位で、猪谷千春さん登場!

後半の映像で、圧雪車が無い時代のダウンヒルレースが紹介されます。
「心」のトレーニングも必要な感じです・・・。

 


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