「パーキンソン病」日記
1997/6/30作
 今日、歯医者さんへ行って来ました。治療が終わり、診察室を出ようと、診察台から降りて歩きだしました。左足を前へ出そうとしましたが、出てくれません。頭の中で、「左足、前へ出ろ!」と命令しますが、・・・出ません。「バタン!!」大きな音ともに、手をついて倒れています。・・・まわりを気にする余裕もなく、うまく立ち上がれる事に集中しました。どうなってるんでしょうね?

1997/5/1作
 この病気になる前は、よく運動をした。中学時代は器械体操・バスケ。高校時代はサッカー。社会人になってからは、空手・テニス。出勤前にジョギングをする意気の良さ。・・・・・・・・。病気や事故って、いつやってくるか分かりませんね。ウエストばかりが幅をきかせて、困っている今日この頃です。

 入院中に、植物人間になった人を何人も見ました。喉に管を入れ、流動食で命を長らえている姿を見ると(ああいう風にはなりたくない)と思うものでした。この間、国会で脳死が「人の死」と法律化されましたが、もし脳死と判断された人が意識を持っていたら、恐いですよね。まして、意識を持ったまま臓器を摘出されたら・・・ぞっとしますよね。

 肝臓を患っている入院患者で、医師から寿命を告げられた人が、やけくそになって病院を抜け出し、ちょくちょく近くの居酒屋へ飲みに行ってました。何度か吐血し、本人もよいよダメだと思ったのでしょう。高校生の二人の息子に、自分が亡くなった後の気構えについて、目に涙を浮かべながらトクトクと言い聞かせていました。その人は、次の日に亡くなりました。

1997/4/22作
 三日前から、首・肩・腰が石の様に固くなり、動く事ができない。つい今し方も、止まることが出来ずにストーブにつまずいて、もろに首からつんのめった。よく首の骨が折れなかったものである。

1997/4/18作
 パーキンソン病の症状の一つに、前方突進と後方突進がある。前または後ろに進み出すと、壁にぶつかるか転ばない限り止まる事ができない。前回話したのは、前方突進の一例です。

 パーキンソン病の原因として考えられているのは、意志を伝達するドーパミン(酵素)が少ないか、あるいはドーパミンが付着しずらいかのいずれかである。対処方法として、Lドーパを服用してドーパミンを補うのが一例である。

1997/4/17作
 病名が分かるまで、5軒以上の病院を回りました。行く先々で、髄液を採られました。「これがまたえらーーーく痛いんです。」髄液を採る時の患者のポーズは、横になって体を丸め、両手で膝を抱え込みます。すると、背骨の骨と骨との間が広がり、そこへ注射針を入れて採取します。この時、神経に触れ足はピクピク、冷や汗ダラダラです。これを読んでる貴方、一度経験してみますか?あまり、お勧めしませんけれど・・・・・。

 数年前に、常用していた薬(医者から貰った食後に飲む薬)を、「飲まなくても大した事ないだろう」と三日間飲まずにいたら、てきめんに体が動かなくなり、おおさわぎ。病院で点滴をしてもらい、命拾いをした。担当医に大目玉をくらった。(・・・やっぱり、この薬効いてんだなあ)以後、この薬を欠かさなくなった。

 以前、病院に通院していた時。それは寒い時期でした。いつもの様に電車で駅に降り、改札を通りタクシーに乗ろうと歩いてたら、小走りになってしまい止まる事ができずに、顔面をアスファルトに叩き付ける様に転んでしまいました。それを見ていて人達は、ビックリ。私は、前歯が少し欠け、顔と膝をけがして血が出ていました。一人の男性が近ずいて来て「大丈夫ですか。駅の医務室へ行った方がいいですよ。」私はうなずきはしたが(そこへ行く事が出来るんだったら、苦労はしないよ)。早くこの場を去りたいと思い、タクシーに乗ろうとしたら「だめ!だめ!シートのカバーに血がつくから!」と3台位に乗車拒否をされた。でも、世の中そう捨てたもんじゃあないね。やっぱりいました親切なタクシードライバーが。その人の運転で、病院へ。そして、その出来事を担当医に話し、近くの病院で診察してもらえるように替えてもらいました。

1997/4/16作
 突然ですが、昨日(97/4/15)自転車に乗ることができました。「えっ!」と思われる方もいるとおもいますが、本当です。自分でも「変なの?」と思っています。

1997/4/?作
 「若年性パーキンソン病」と診断されて、早10年目になる。病院で「パーキンソン病」です。と言われてもピンとこなかった。「何それ?」。だいたいこの病気にかかるのは、50代以上のお年寄りが多い。まれに私のように、20代で発病すると「若年性」という言葉が付く。この病気を完治させる薬も無い。ということは、死ぬまでこの病気と付きあわざるおえない。「おい、おい。よしてくれよ!」毎日が悪い夢を見ているようだ。私の症状は、平坦な所を歩くときに、思うように足が前に出ない。特に左足。階段の上り下りは出来る。普通、逆じゃないか。足が不自由なら、階段の上り下りの方が、やりずらいはず。

 障害者年金の手続きをした。審査の結果は「ダメ」。日常生活がある程度できると、対象外のようだ。私の場合は、幸か不幸か日常生活に支障をきたすものではない。しかし、声を大にして言いたい、「身の回りの事は出来ても、この体の状態じゃ、勤めに出る事さえ出来ない。どうやって、生活しろっていうんだ。」「国会議員や公務員の報酬を削ってでも、こちらの方へ振り向けていいんじゃないのか。」「食料費に使う税金があるんなら、福祉にまわせよ。」

「パーキンソン病」は、イギリスの発見者の名前をとって付けられた。