Report file No.1
    Page 2 二王子スキークラブ・村田憲治
本の最初、シュナイダー自筆の前書き


わが親愛なる若人たちよ!

 私は、諸君のスキー習得の助けとなるこの本に、私のいくつかの原則を付け加えたいと思う。スキーは、私の本を研究しただけでは習得することはできないが、それによって時間と労力をはぶくことはできる。大切なことは一にも二にも練習であり、熟練と平衡感覚であり、加えるに決断力と意志である。

 スキーの上に立っているとき、あるいは滑っているときに、常に体が前にあり、スキーが自分の後ろにあるという感じを持たなければならない。上へも下へも平衡をとりうる姿勢を常にとっておかねば成らず、すなわち、立ちすぎず、屈みすぎない中庸をえた姿勢をとることである。膝を曲げて前に出し、上体は真直におこし、両手は膝の近くに保つことである。高速度の滑降には一にもフォアラーゲ、二にもフォアラーゲである。

 プルークファーレン、シュネープルークボーゲンは、たっぷり時間をかけて真に徹底的に練習し、このスキーの基礎を真にマスターしなければならない。あらゆるスキーヤーの犯している大きな誤りの一つ、 それはすべての人々がスキーの基礎を身につけないうちにできるだけ早くクリスチャニアをやりたがるということである。基礎さえできれば自然に上達するのである。シュテムボーゲンからシュヴィンゲンに進むことだけが正しいのであり、すべてが自然に出来てくるようにしなければならない。

 皆さんがスキーをする時に忘れてはいけないのは次のことである。

フォアラーゲ。(前傾姿勢)
膝を柔らかく保つこと。
上体を真直に起こしておくこと。
両手は膝の近くに置くこと。

これらの原則をよく守れば、皆さんはきっと立派なスキーヤーになれます。
すべての諸君に、元気よく シーハイル を送ります。

1930年 ハンネス シュナイダー


(昭和37年「シーハイル」玉川学園出版の和訳より)


 アールベルグスキー術は
技術ではない。技法である。

ルディ マット


2000年12月5日、6日に甲信越ブロック研修を受けた際、平川先生・大谷先生から同じような指導内容を受け、あらためてこのシュナイダーの前書きに感動を覚えました。
(もちろん具体的な運動や方法は変わっていますが、何よりも基礎が応用や用具の活用を呼ぶを強調された研修でした)


なんと、カービングターンが・・・


20世紀を振返り、ハンネス・シュナイダー以前の歴史についてひとこと!
時のヨーロッパから日本まで約50日の船旅(たのみに行った人は倍ですよね)、飛行機やITなども無く、よくぞスキーを伝達してくださった。 このレポートの際、自宅にある様々な本を読む中で、海を超えた有名な指導者と呼ぼうとした名もなき多くの熱心な人たちの命がけの情熱によって、オーストリア・スキー術が伝達されたなんだな〜と勝手に思いを巡らせました。




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