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2013.6.24 股関節の動きを見直そう


股関節の基本的な動きは6つあります。
屈曲-伸展、内旋-外旋、外転-内転の6つです。

【屈曲-伸展】
立位で足の屈伸運動を思い描く方が多いと思いますが、立位だと説明が複雑になりますので、床に仰向けに寝ましょう。
そして、足が天井を向くように、脚を上げていきます。股関節と大腿骨を身体の横方向から見ていると、最初は180度だったものが、足が天を向くと90度になっていると思います。
このように「180度方向から90度方向に変化する(角度が小さくなる)」ことが【屈曲】です。
反対に「90度方向から180度方向に変化する(角度が大きくなる)」ことが【伸展】です。
これは身体の前方向で行われますが、立位で行うと、足は背面方向にも伸展します。伸展位から元に戻るのも屈曲です。
骨盤と大腿骨がなす角度を自由に変化させることができるか、が課題です。

【内旋-外旋】
足の向きを内側方向へ捻っていく運動(内旋)、外側方向へ捻っていく運動(外旋)です。
アルペンスキーで高速度ターンをする場合、両スキーを平行に保つ必要がありますので、足の向きを内側に捻っていく運動を行うことと、反対の足を外側方向へ捻っていく運動を同時に行うことが求められます。
両脚が別々の動きをする連動性に習熟度を高めたいものです。
内旋-外旋
意外と足のコントロールができているようで、できていないことに気づいていないケースが多見られます。
【参考】 2006.7.14 プロペラターン

【外脚股関節の外転】
下記の写真をご覧ください。
まずは、外転を見てみましょう。
ターン外脚の外転((1)両スキーを平行にして立ちます。
(2)ターンの外足をイメージした脚全体を外側に外転させます。股関節の真下に位置していた足が、外側に移動します。重心の高さをそのままにして行うと、足は浮きます。
(3)外転した脚をそのまま保持し、足が雪面に触れるようにするためには、重心の位置を下げて行きます。
つまり、スキーヤーが外転する位置に足を置きたいならば、重心位置を下げる動きとの連動性が必要となります。

次に、【内脚股関節の内転 + 外旋】を見てみましょう。
ターン内脚の内転
(3)外脚が外転して雪上に足が着地している時、内股関節の真下に内足が位置しています。
(4)重心位置を変えないで、内足をイメージした脚全体を内転させてみると、先ほどと同様に、足は浮きます。
 さらに、内脚の股関節を外旋させますと、脛は振子のように外脚の傾きと同調します。
(5)内脚をそのままま保持し、足が雪面に触れるようにするためには、重心の位置を下げて行きます。
つまり、外脚を外転させるために重心位置を下げた位置から、内脚を内転+外旋させるために、さらに重心位置を下げることが必要となります。
【参考】
 2006.8.7  シュテムターン
 シュテムターンの2段活用

おわかりのように、【外転-内転】の運動要領を習熟するためには、シュテムターンが最適です。
外足と内足を順番に動かしますから、どの筋肉が動きやすくて(よく伸びる)、どの筋肉が動きにくい(伸びない)か、を感じることができます。

【なぜ外転-内転が必要なのか】
ターンをするためには、スキーを傾ける量をコントロールすることが必要です。(傾けることと、緩めること)
また、同時に、スキーのセンター付近に重さを集中させることも必要です。
ターン全体を俯瞰すると、【「上体、体幹の安定」と「スキー角付けの調整」を両立させたい】訳です。
それには、【外転-内転】と、【元に戻る立位】をうまく使っていくとで、すばやい動きと、角付け&荷重を両立することができます。


シュテムターンを使って、パラレルターンを見直してみると、スムースなターンができない原因に気づくことができるでしょう。
プルークボーゲンやシュテムターンは、ターンができない人が行う種目ではなく、ターン外脚の外転位置を覚えるために練習するのです。
その位置がパラレルターンには必要なのです。

日常生活ではあまり使わない股関節の動きをしましたら、股関節まわりの筋肉が活性化されます。スポーツのスキーをしたいなら、筋肉の可動域についても見直してみましょう。
最終的にはこの6つの動きを駆使していくと、脚の動きは3Dの動きになりますから、動きのイメージ作りも平面エリアから、立体エリアで考えるようにしましょう。
特に、外転位置にある足が元の立位へ戻る時には、足は斜面の下側へ落ちた位置に移動していくことをイメージしましょう。

これらは、トップページで紹介している1930年のハンネス シュナイダーの言葉に酷似していくのですよ。
現場は斜面であり、右ターンの次に左ターンをするアルペンスキーは、このあたりは変わりようがないのである。

 

【追記: 2016.6.24】
従来、外脚股関節を外転させて、内脚股関節を内転させて、パラレルターンにしていく、というような解説が見られました。
しかし、股関節の可動範囲として、脚伸展位での外転は45度、同様に脚伸展位での内転は15度と言われています。
ですから、
スピードが遅くスキーの傾け量が少ない、雪面からお尻までの距離が長い、高い位置にポジションを確保できる時には問題ないものの、
スピードを求め、スキーの傾きの量を多くとり、雪面からお尻までの距離を近づけるようなポジションを取る場合は、内脚の内転だけでは、外脚の傾きに同調できないのです。
私は一所懸命に内転の練習をしましたら、筋肉を傷めてしまいました・・・。
そして、2016年2月に開催されたWC苗場大会を2日間コース脇で観察した選手の動作を整理してみると、
ターンの切り替えしの直後、外脚の外転と内脚の屈曲+外旋を、瞬時に行い、角付けを切り替えていました。GSも、SLも。

スピードを求める滑りに発展させるためには、「内脚の動かし方を覚えよう」のページもご覧ください。

 


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