1_7.悪戦苦闘の私に姉の手助け
 その後、1年間は大変苦労しました。1日の仕事を微力ながら必死に勤めました。次男を学校に送り出し、次は父の面倒です。入院中は寝たっきりで、尿道にカテーテル(自然排出)をしていましたので、家に帰ってからは私が尿道を消毒をし、熱いタオルで体全身を拭き、床擦れが出来ぬよう、マッサージをしたり、寝返りをさせたり、なるべくベッドの上に座らせるように心がけていました。食事も出来る限り軟らかくて、栄養価の高い物を食べさせていましたが、日増しにやせ衰え、骨と皮ばかりになって行き、トイレ(大便)に抱きかかえて連れて行く時、余りにも体の軽さに涙が出て来て止まらない事もしばしばありました。

 父の看病、妻の面倒をみている私を見かね、またおばーさんの仕事をしている姿を見て「おばーさんに仕事をさせたのでは可哀相だ。私が手伝いに来てやるから、おばーさんを休ませてやったら」と言い姉がお店を手伝ってくれました。この姉は働き者で、手際良く仕事をしてくれるので非常に助かりました。働いて頂いているのでお礼をしようと思うと、「こんな物を貰うために来ているんじゃない。おばーさんが可哀相だから私が代わりに働いているんだから、そんな物は要らない」と言い、受け取らず、無償で手伝ってくれました。姉には何とお礼を言って良いのか言葉も見つからず、姉を頼ってしまいました。また兄弟達もおじいさんの様子を見に来ながら、お店を手伝ってくれました。良い父母に育てられ、良い兄弟に恵まれて幸せです。現在この「さくら家」が繁盛しているのも、皆兄弟のお陰と感謝しております。